「神田!!しっかりしてください!!神田ぁ!!!!」

若い青年の悲痛の叫びが夜の闇に響く
青年の腕にはぐったりして動かない黒髪の青年
胸からは止まることなく流れ続ける血
青年を抱える青年の服、白い髪を染めた
数匹のアクマが青年等に銃口を向けた
青年はそれらを睨んだ
感情を持たぬ兵器が揺れ動く

「僕は神田と話しているんだ!
 邪魔をするな!!」

平気は銃口を向けたまま動かなかった
黒髪の青年が何かを呟いた
白髪の青年は慌てて耳を傾けた

「・・・ア・・レン・・・」
「!」

眼を閉じたまま黒髪の青年は続ける

「・・・愛して・・・いる・・・」

白髪の青年から涙がこぼれた
黒髪の青年の頬をぬらした
やがてもう眼を開けることなく
その命の糸が切れた

「神田ぁぁ!!!!!!」

さらに悲痛な声を上げた
冷たくなっていく体を強く抱きしめた
もう温もりは

ない

アクマが声を上げる
それに続いて何匹も何匹も
その場にいるすべてのアクマが天に向かって

ココロを持たぬ兵器が
悲しそうな声を上げる
鎮魂歌のように
アクマの声が2人を包み込んでいた



























満月




























ある満月の夜

月の光に照らされる黒い影に

僕は心を奪われた

「一匹で来るとはいい度胸じゃねぇか・・・」

君の前ではどんな時でも
僕は冷静に接した
心を知られてはいけない
もう二度と同じ思いをしないように
大切なものなど作らないように

それでも

僕は心のどこかで君を求めていた

「ストップ
 関係ないとこ悪いですけど
 そういう言い方はないと思いますよ」

言い争いに割って入ったのも
君と話す口実を作るため

「・・・・・・・・・・・・放せよモヤシ」

君が僕の心を知ることはない
これからも

・・・ずっと・・・

「ふたりコンビで行ってもらうよ」

コムイさんのその言葉は
僕にとってどれほど嬉しかったことか・・・
仕事だと分かっていても
僕の心は躍っていた

「そっちのトマがアクマだ神田!!!」

その時ほどアクマを怨んだことはなかった
君が息をしていたこと
どれほど生きていて欲しいと願ったか

「この根性無しが・・・
 こんな土壇場でヘバってんじゃねェよ!!
 あの2人を守るとかほざいたのはテメェだろ!!!」

そうやって怒鳴った君
少しは僕に気があるのかなって・・・
そんなバカなことを考えていた

そんなこと

あるはずないのに・・・・



ある満月の夜

僕は君と一緒にいた

僕のせいで君は・・・・

「神田!!しっかりしてください!!神田ぁ!!!!」

君は僕を庇った

アクマは僕をまた狙った

僕はアクマを睨んだ

「僕は神田と話しているんだ!
 邪魔をするな!!」

君が呟いた言葉で

僕は涙があふれた

「・・・ア・・レン・・・」
「!」

君が始めて僕の名を呼んだ

もう涙が止まらない

「・・・愛して・・・いる・・・」

酷いよ

今更そんなこと言うなんて

最期になって言うなんて・・・

君はもう動かない

握り締めていた手も冷たくなっていく

命の糸が切れた

「神田ぁぁ!!!!!!」

アクマの声は

鎮魂歌のように僕は聞こえた

「神田・・・・愛しています
 いつか僕もそっちに逝きます
 それまで・・・待っていてください」

僕がアクマの1匹を破壊しても

他のアクマは動かなかった

このまま僕を殺してくれたら

どんなに楽だったか

どんなに嬉しかったか・・・・














































ある満月の夜

月の光に照らされる黒い影に

僕は心を奪われた














































ある満月の夜

僕は大切なものをなくした













































ある満月のよる

僕は・・・・




















END


最後の文は想像にお任せします
神田さん死なしてすいません;;;
ある方に死にネタ小説を!と言われたので書いてみました
絶対誰かが書いているようなネタでスンマソン;;;
by連鎖 志希

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